鈴木章賞

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2023年鈴木章賞の受賞者を下記の通り発表いたします。

 

2023年アキラ・スズキ・アワード:

Erick M. Carreira教授

(エリック・M・カレイラ,スイス連邦工科大学(ETH)チューリッヒ校)

 

2023年アイクレッド・アワード:

Frank Neese教授

(フランク・ネーゼ,マックス・プランク石炭研究所)

おめでとうございます。受賞者の詳細は「受賞者」のタブでご参照ください。

鈴木章賞は,北海道大学名誉教授 鈴木章先生の卒寿を記念するとともに,2010年ノーベル化学賞受賞の功績を称え,2021年に鈴木章賞組織委員会によって創設されました。
本賞は,広義の化学反応の発見に関する研究への顕著な貢献を表彰し,科学技術の発展に寄与することを目的としています。

鈴木章賞に設けられた「アキラ・スズキ・アワード」と「アイクレッド・アワード」の2つの賞は,実験化学分野(アキラ・スズキ・アワード)および,計算(理論)化学・情報科学分野(アイクレッド・アワード)において,化学反応開発に顕著な功績を収めた研究者に授与されます。各賞は,年齢・国籍を問わず毎年1名に贈られます。
毎年,授賞式および受賞講演会を開催し,受賞者には副賞としてメダルと賞金が贈呈されます。

2021年 初代鈴木章賞 授賞式

 

鈴木章先生

鈴木章先生は,1930年9月12日,北海道でお生まれになりました。

1954年北海道大学理学部化学科をご卒業後,1956年同大学院理学研究科修士課程を修了,1960年に同博士課程を修了され,1961年同工学部合成化学工学科にて助教授,1973年より同応用化学科教授を務められ,1994年定年退官,北海道大学名誉教授となられました。

ご退官後は,1994年岡山理科大学教授,1995年から2002年まで倉敷芸術科学大学教授を務められ,この間,2001年に米国パデュー大学招へい教授,以降も北海道大学を含む国内外の様々な大学にて招へい教授,名誉教授となられ,2015年には,世界的に極めて顕著な教育研究業績を挙げた研究者のうち,長期にわたり北海道大学の教育研究の進展に寄与すると認められた者に与えられる北海道大学ユニバーシティプロフェッサーの称号を授与されました。

1963年からの2年間,米国パデュー大学の H. C. Brown研究室に博士研究員として,有機ホウ素化合物の合成と利用に関する研究に従事し,帰国後もこの分野をさらに発展させ多くの卓越した業績を挙げておられます。中でも1979年に報告された,パラジウム触媒を用いる有機ホウ素化合物のクロスカップリング反応は有機合成化学のみならず,触媒化学や材料科学などの広い分野に多大な影響を及ぼした研究であり,2010年ノーベル化学賞の受賞理由となった「鈴木カップリング」反応は,医薬や農薬,IT機器に不可欠な液晶,有機ELなど,私たちの生活に身近な製品の開発や量産化に大きな貢献を果たしています。

組織

受賞者の選考は,鈴木章賞組織委員会の委員長が委嘱した国内外の有識者で構成される各選考委員からの推薦に基づいて行われます。選考委員からの推薦は,鈴木章賞組織委員会で検討され,最終的に受賞者が決定されます。

鈴木章賞 組織委員会

委 員 長:澤村 正也(北海道大学 教授)
副委員長:武次 徹也(北海道大学 教授)
     伊藤 肇(北海道大学 教授)
     佐藤 美洋(北海道大学 教授)
     前田 理(北海道大学 教授)
     小松﨑 民樹(北海道大学 教授)

アキラ・スズキ・アワード選考委員

Timothy F. Jamison(マサチューセッツ工科大学 教授)
Bernhard Breit(フライブルク大学 教授)
Benjamin List (マックス・プランク石炭研究所 教授/ICReDD主任研究者,特任教授)
澤村 正也(北海道大学 教授)
伊藤 肇(北海道大学 教授)
佐藤 美洋(北海道大学 教授)

アイクレッド・アワード選考委員

Michael Rubinstein(デューク大学 教授/ICReDD主任研究者)
Alexandre Varnek(ストラスブール大学 教授/ICReDD主任研究者)
佐藤 啓文(京都大学 教授)
武次 徹也(北海道大学 教授)
前田 理(北海道大学 教授)
小松崎 民樹(北海道大学 教授)
長谷川 淳也(北海道大学 教授)

受賞者

2023年鈴木章賞受賞者

アキラ・スズキ・アワード:

Erick M. Carreira
(エリック・M・カレイラ, スイス連邦工科大学(ETH)チューリッヒ校)

略歴
エリック・M・カレイラ教授は1984年にイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校にて、スコット・E・デンマーク氏のもとで学士号を取得、1990年にハーバード大学デイヴィッド・A・エヴァンズ氏のもとで博士号を取得しました。1992年後半までカリフォルニア工科大学ピーター・ダーバン研究室にて博士研究員として働いた後、同大学化学科の助教に着任、1996年春に准教授、1997年春に教授へ昇任しました。1998年春より、スイス連邦工科大学(ETH)チューリッヒ校 有機化学研究室にて化学教授を務めています。2011年より同大学のシステム生理学・代謝性疾患コンピテンスセンターのメンバー。カレイラ教授は米国科学アカデミーおよびアメリカ芸術科学アカデミーの会員です。学術誌Organic Letters, Thieme Verlag (Synfacts and Synthesis), and Organic Synthesisの編集委員を務め、2019-2020年はOrganic Letters誌の編集主幹、2021年1月付でJ. Am. Chem. Soc.誌の編集主幹を務めました。ETHチューリッヒ校の同僚と共に、Lipideon, SpiroChem, そしてGlycemiconの3社に共同出資しています。彼はまた北米、欧州、スイス、英国、アジア、アフリカにおける企業のコンサルタントも務めています。

カレイラ教授は数々の受賞歴があり、代表的なものではインド理科大学院Morris Travers Memorial Lecture、インド工科大学ボンベイ校G. K. Trivedi Annual Award Lecture 2023、シカゴ大学Kharasch Lectureship、有機合成化学協会高砂香料国際賞「野依賞」、国立ソウル大学Eun Lee Lectureship Award、英国王立化学会Barluenga Medal、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校C. S. Marvel Lectureship、オーストリア国立化学会 Lieben Award、 マックス・プランク化学エネルギー変換研究所Ziegler Award Lecture、ハーバード大学 Tischler Award Lecture、ミネソタ大学 Gassman Award Lecture、Seymour Rothchild Lecture Award、European Research Commission Award、 米国化学会(ACS)有機合成化学クリエイティブ賞、ゴードン会議A. Cruishank Lecturer、DSM科学技術賞、テトラへドロン・チェアー、テトラへドロン若手研究者賞、Thieme賞、シュプリンガー賞、ACSより純化学賞、 および Nobel Laureate Signature Award等があります。

カレイラ教授は350報を越える論文と36の特許を取得しています。自身の研究室では140名の学部生、110名の大学院生、81名の博士研究員を指導経験があります。

アイクレッド・アワード:

Frank Neese
(フランク・ネーゼ, マックス・プランク石炭研究所)

略歴
フランク・ネーゼ教授はコンスタンツ大学にて、ペーター・クロネック氏のもと、学士(生物学、1993年)および博士号(Dr. rer. Nat., 理学、1997年)を取得しました。スタンフォード大学、エドワード・ソロモン氏のもとで博士研究員(1997-1999)を経て、コンスタンツ大学に戻り、2001年、Habilitation(ドイツにおける大学教授資格)を取得しました。同年マックス・プランク研究所(MPI)の生物無機化学研究所へ、グループリーダーとして着任し、2006年ボン大学の理論化学科長へ就任しました。2011年マックス・プランク化学エネルギー変換研究所所長、2018年、ウォルター・ティール氏の後を引き継ぐ形でマックス・プランク石炭研究所に活動拠点を移しました。2010年、ネーゼ教授はドイツ研究振興協会の最高賞であるゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ賞をはじめ、世界理論系化学者協会によるシュレディンガー・メダル(2022)を含む、国内外の数々の賞を受賞しています。ネーゼ教授はドイツ国立科学アカデミー・レオポルディーナ(2013年)、ヨーロッパアカデミー(2018年)を含む国内外の数々のアカデミー会員でもあります。ネーゼ教授は700報以上の研究論文の著者であり、2015年以来、世界で最も引用された化学者トップ1%の中に入っています。研究分野は磁気分光学(電子常磁性共鳴、磁気円二色性)およびその実験的、理論的応用、局所対自然軌道相関理論、多重参照法、遷移金属錯体および金属酵素の電子・幾何構造および反応性です。ネーゼ教授はORCA(量子化学プログラム)の筆頭著者であり、また、2017年にはFAccTs(マックス・プランク研究所のスピンオフ企業。学術的な革新を産業へもたらすことを目的とする)の共同出資者となりORCAの商業的流通に貢献しています。

過去の受賞者

アキラ・スズキ・アワード
2022年 – John F. Hartwig(カリフォルニア大学バークレー校)
2021年(初代)− Stephen L. Buchwald (マサチューセッツ工科大学)

アイクレッド・アワード
2022年 – Kendall N. Houk(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)
2021年(初代)− David J. Wales (ケンブリッジ大学)

参加登録

授賞式および受賞講演会は,2023年9月10日(日)〜11日(月)に開催される第6回ICReDD国際シンポジウムと併せてハイブリッド形式で開催されます。

参加登録は後日シンポジウムウェブサイトにて開始いたします。

お問い合わせ

鈴木章賞に関するお問い合わせはこちらまで:

event[at]icredd.hokudai.ac.jp

アキラ・スズキ・アワードとアイクレッド・アワードは東ソー株式会社からの協賛金にて運営されています。