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2022年の鈴木章賞の受賞者を発表いたします。
2022年アキラ・スズキ・アワードの受賞者は、カリフォルニア大学バークレー校、John F. Hartwig教授。そして2022年アイクレッド・アワードの受賞者は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のKendall N. Houk教授です。おめでとうございます。受賞者の詳細は「受賞者」のタブでご参照ください。
第2回鈴木章賞の授賞式と受賞講演は2023年1月11日(水)にオンラインで開催いたします。授賞式の詳細や登録方法に関しては後日ご案内いたします。
鈴木章賞は,北海道大学名誉教授 鈴木章先生の卒寿を記念するとともに,2010年ノーベル化学賞受賞の功績を称え,2021年に鈴木章賞組織委員会によって創設されました。
本賞は,広義の化学反応の発見に関する研究への顕著な貢献を表彰し,科学技術の発展に寄与することを目的としています。
鈴木章賞に設けられた「アキラ・スズキ・アワード」と「アイクレッド・アワード」の2つの賞は,実験化学分野(アキラ・スズキ・アワード)および,計算(理論)化学・情報科学分野(アイクレッド・アワード)において,化学反応開発に顕著な功績を収めた研究者に授与されます。各賞は,年齢・国籍を問わず毎年1名に贈られます。
毎年,授賞式および受賞講演会を開催し,受賞者には副賞としてメダルと賞金が贈呈されます。
2021年 初代鈴木章賞 授賞式
鈴木章先生
鈴木章先生は,1930年9月12日,北海道でお生まれになりました。
1954年北海道大学理学部化学科をご卒業後,1956年同大学院理学研究科修士課程を修了,1960年に同博士課程を修了され,1961年同工学部合成化学工学科にて助教授,1973年より同応用化学科教授を務められ,1994年定年退官,北海道大学名誉教授となられました。
ご退官後は,1994年岡山理科大学教授,1995年から2002年まで倉敷芸術科学大学教授を務められ,この間,2001年に米国パデュー大学招へい教授,以降も北海道大学を含む国内外の様々な大学にて招へい教授,名誉教授となられ,2015年には,世界的に極めて顕著な教育研究業績を挙げた研究者のうち,長期にわたり北海道大学の教育研究の進展に寄与すると認められた者に与えられる北海道大学ユニバーシティプロフェッサーの称号を授与されました。
1963年からの2年間,米国パデュー大学の H. C. Brown研究室に博士研究員として,有機ホウ素化合物の合成と利用に関する研究に従事し,帰国後もこの分野をさらに発展させ多くの卓越した業績を挙げておられます。中でも1979年に報告された,パラジウム触媒を用いる有機ホウ素化合物のクロスカップリング反応は有機合成化学のみならず,触媒化学や材料科学などの広い分野に多大な影響を及ぼした研究であり,2010年ノーベル化学賞の受賞理由となった「鈴木カップリング」反応は,医薬や農薬,IT機器に不可欠な液晶,有機ELなど,私たちの生活に身近な製品の開発や量産化に大きな貢献を果たしています。
組織
受賞者の選考は,鈴木章賞組織委員会の委員長が委嘱した国内外の有識者で構成される各選考委員からの推薦に基づいて行われます。選考委員からの推薦は,鈴木章賞組織委員会で検討され,最終的に受賞者が決定されます。
鈴木章賞 組織委員会
委 員 長:澤村 正也(北海道大学 教授)
副委員長:武次 徹也(北海道大学 教授)
伊藤 肇(北海道大学 教授)
佐藤 美洋(北海道大学 教授)
前田 理(北海道大学 教授)
小松﨑 民樹(北海道大学 教授)
アキラ・スズキ・アワード選考委員
Timothy F. Jamison(マサチューセッツ工科大学 教授)
Bernhard Breit(フライブルク大学 教授)
Benjamin List (マックス・プランク石炭研究所 教授/ICReDD主任研究者,特任教授)
澤村 正也(北海道大学 教授)
伊藤 肇(北海道大学 教授)
佐藤 美洋(北海道大学 教授)
アイクレッド・アワード選考委員
Michael Rubinstein(デューク大学 教授/ICReDD主任研究者)
Alexandre Varnek(ストラスブール大学 教授/ICReDD主任研究者)
佐藤 啓文(京都大学 教授)
武次 徹也(北海道大学 教授)
前田 理(北海道大学 教授)
小松崎 民樹(北海道大学 教授)
長谷川 淳也(北海道大学 教授)
受賞者
2022年鈴木章賞受賞者
アキラ・スズキ・アワード:
John F. Hartwig (カリフォルニア大学バークレー校)
John Hartwig 氏はプリンストン大学で学士号を取得後、Bob Bergman氏とRichard Andersen氏のもと、カリフォルニア大学バークレー校(U.C. バークレー)でPh. D. を取得し、マサチューセッツ工科大学のStephen Lippard氏のもとで博士研究員として勤務されました。
1992年、イェール大学にて教員としてのキャリアをスタートし、2004年にイレーネ・P・デュポン教授となりました。2006年、イリノイ大学へ移りケネス・L・ラインハート Jr. 化学教授に就任、2011年、ヘンリー・ラポポート教授としてU.C. バークレーへ戻られました
Hartwig教授は、遷移金属錯体を触媒とする有機合成のための新反応の発見と理解を中心に研究を行っており、アリールアミン、アリールエーテル、アリールスルフィド、α-アリールカルボニル化合物の形成に広く実用化されているクロスカップリング反応や、実用的なC-H結合官能基化反応の発見に貢献したことでよく知られています。また、アルケンの触媒的ヒドロ官能基化反応、不斉アリル置換、ポリオレフィンの官能基化法にも貢献し、最近では、遷移金属触媒の反応性と酵素の選択性・進化の可能性を兼ね備えた人工金属酵素を触媒とする反応について発表しています。Hartwig教授は、炭素-ヘテロ原子結合を形成する還元的脱離、N-H結合の酸化的付加、アミドやアルコキシドへのオレフィン挿入の研究など、それらを支える機構や基礎有機金属化学に着目してきました。著書に教科書 “Organotransition Metal Chemistry: From Bonding to Catalysis”(※日本語翻訳版『ハートウィグ 有機遷移金属化学』)があります。受賞歴には、名古屋ゴールドメダル、アーサー・C・コープ賞、テトラヘドロン賞(有機合成部門)、ウルフ賞(化学部門)などがあります。
アイクレッド・アワード:
Kendall N. Houk(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)
Kendall. N. Houk 氏はRobert. B. Woodward氏のもと軌道対称性選択則の実験的検証に取り組み、ハーバード大学で学位を取得されました。1968年にルイジアナ州立大学の教員となり、1980年ピッツバーグ大学を経て、1986年からカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の教員を務めています。1988年から1990年までアメリカ国立科学財団の化学部門長、1991年から1994年までUCLA化学・生化学科の学科長、2009年から2021年まで同学科にてソウル・ウィンスタイン有機化学教授を務め、現在はUCLAのディスティングイッシュト・プロフェッサーです。
同氏は2002年にアメリカ芸術科学アカデミー(AAAS)、2003年に国際量子分子科学アカデミー、2010年に米国科学アカデミー、2021年に中国科学院(CAS)の外国人会員に選出されたほか、主たる受賞歴として2021年、アメリカ化学会(ACS)による有機化学分野の最高賞であるロジャー・アダムス賞、2021年フォーサイト研究所ファインマン賞(理論部門)、同年ペリシクラーゼの発見で共同研究者と共に2021年英国王立化学会ホライズン賞を受賞されています。また、2005年から2015年までAccounts of Chemical Research誌のシニアエディター、2018年から2021年までChemistry – A European Journal誌の北米共同編集委員長を務められました。
Houk教授は、有機化学における理論・計算化学の権威であり、Houk教授の研究グループは、反応性を理解するための法則の開発、複雑な有機反応のコンピュータ・モデリング、理論の予測の実験的検証に携わっています。世界各国の化学者たちとの幅広いコラボレーションのもと優れた共同研究を進め、発表された論文は1400本以上にのぼります。
過去の受賞者
アキラ・スズキ・アワード
2021年(初代)− Stephen L. Buchwald (マサチューセッツ工科大学)
アイクレッド・アワード
2021年(初代)− David J. Wales (ケンブリッジ大学)
参加登録
受賞講演会への参加登録は後日開始いたします。
授賞式および受賞講演会は,2023年1月11日に開催される第5回ICReDD国際シンポジウムの一環として開催されます。
お問い合わせ
鈴木章賞に関するお問い合わせはこちらまで:
event[at]icredd.hokudai.ac.jp
アキラ・スズキ・アワードとアイクレッド・アワードは東ソー株式会社からの協賛金にて運営されています。