MANABIYA とは
MANABIYAは、計算科学、情報科学、実験科学の3つの分野に精通した新世代の研究者を育成し、3分野の融合により新たな化学反応の合理的かつ効率的な開発を可能にする手法を世界に普及・活用するための教育・研究プログラムです。ICReDDを国際的に認知された研究機関とし、学術ネットワークを形成し、新たな研究シーズの発見を目指します。MANABIYAパンフレット(英語版)へ
MANABIYAには、大学・研究機関の研究者や学生向けの「MANABIYA ACADEMIC (アカデミック)」と、企業研究者向けの「MANABIYA INDUSTRY (インダストリー)」の2つの枠があります。
MANABIYA アカデミック
(年度ごとの公募型)
*令和6年度MANABIYAアカデミック募集は締め切りました。
国内外の大学・研究機関の若手研究者や学生が ICReDD に2週間から3か月までの期間滞在し、新しい化学反応を開発する手法を習得し、その過程で新たな研究シーズの発掘や当該若手研究者の人材育成を行います。応募に際しては令和6年度受入募集要項をご確認ください。
MANABIYA インダストリー
(継続的に公募)
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コンサルタント、共同研究を通じて、ICReDD 教員と企業研究者とのコラボレーションを推進します。興味がある研究を行っている教員が見つかりましたら、MANABIYA 担当にご連絡ください。
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MANABIYAで学べる研究テーマ
MANABIYAアカデミック、インダストリーともに、ICReDDのPI(主任研究者)が専門とする研究分野を中心に、ICReDDの特徴である計算科学、情報科学、実験科学分野の3つの分野融合を叶える環境の中でICReDDならではのメソッドを学んでいただけます。
受け入れ教員の一例:
前田 理 |
反応経路自動探索法を用いた反応機構の理論解析と予測 期間:2~3カ月 |
受け入れ教員・研究テーマ一覧はこちらをご覧ください。
論文
MANABIYAの参加者は、自身の研究に活用できるスキルを身につけ、修了後も有意義な研究活動に取り組んでいます。MANABIYA参加により得られた研究成果のいくつかを下記にてご紹介しています。
・MANABIYA成果紹介
受賞
- 日本化学会第104春季年会(2024)(日本大学理工学部船橋キャンパス開催)学生講演賞 (2024/3/18)
田渡 司(京都大学大学院薬学研究科D3)
「ベンザインと窒素置換アルキンの新奇な分子内環化付加反応の開発」
共著者:坂上 峻哉、伊藤 琢磨、原渕 祐、前田 理、高須 清誠、瀧川 紘
高須研究室
修了者の声
これまでにMANABIYAに参加された方々の一覧と、修了者からの感想をご紹介します。
・修了者・研究成果一覧
・修了者の声(アーカイブ)
(職位・所属はMANABIYA参加当時)
FY2024
山口 英士(岐阜薬科大学 講師)
2024年7月末、私は猛暑が続く岐阜を離れ、涼しい新千歳空港へと降り立ちました。これまでにも北海道を訪れたことはありましたが、今回は特にその気温差に驚かされました。日本国内でありながら、まるで別の国に来たような感覚です。快適な気候の中で一夏を過ごせるという期待感に、自然と気分が高まったことを覚えています。
今回の北海道滞在は、MANABIYAというプログラムに参加するためでした。このプログラムは、日本だけでなく世界中から学生や教員が集まるもので、その年の学会で美多教授が熱心にプロモーションをしていたことがきっかけで知りました。当時、私の研究には計算化学的な解決が必要だと感じており、参加を決めました。
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ジャック・ヘミングウェイ
(ニューキャッスル大学 博士研究員、イギリス)
反応経路探索法であるAFIRの活用に関する論文をいくつか読み、自分自身の研究、とりわけ、反応機構が完全にクリアになっていない実験結果を説明するものとして、AFIRがとても役に立つと考え、MANABIYAに応募しました。私は前田教授のグループに受け入れられ、林特任准教授の指導のもとAFIR法を学び、それを私が取り組んでいた反応に実際に応用してみました。北大では美多教授が私を歓迎してくれ、美多グループと前田グループメンバーの皆さんがいつでも相談に乗ってくれる環境で、札幌での滞在期間中、いつも温かく迎えられていると感じさせてくれました。
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FY2023
リプトロット・デヴィッド(バース大学 シニア講師・
Royal Society University Research Fellow、イギリス)
ある学会でICReDDの優れた研究成果を知ったことをきっかけに、MANABIYAに参加しました。化学反応発見のためのAFIR法を学びたいと思い、前田教授ならびに美多教授のグループ両方に参加しましたが、参加後すぐにAFIR法の素晴らしさに深く感心し、自分の研究グループで進行中の研究にも取り入れたいと思いました。滞在中は、多くの研究者の皆さんから丁寧なサポートをいただき、AFIR法を徹底的に理解することができました。5週間という短い滞在期間ながらも、ここで得た結果は、すでに外部資金の獲得に直接繋がっています。また、この結果に基づいた化学合成に関する論文を近いうちに発表できそうです。
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松原 希宝(群馬大学 博士課程、日本)
2022年及び2023年の2回にわたるMANABIYAでの研究活動では、GRRMの使い方からはじまり、GRRMをどのように活用して研究を推進していくのかを学び・議論することができ、とても充実した時間を過ごすことができました。このような稀有な環境で研究することは、自身の研究姿勢を刺激するものであり、非常に有意義な時間であったため、2023年も参加を決意しました。2023年の滞在では、自身の研究を遂行するだけでなく、ICReDDが主催するシンポジウムや講演会に参加することができ、自身の人脈を大きく広げることもできました。このように最先端の研究が行われている研究機関での活動に積極的に参加できることも、MANABIYAの大きな魅力の一つだと思います。本活動を行うため、前田教授、原渕特任准教授をはじめ、前田研究室の学生の皆様には本当にお世話になりました。さらに、2023年度は実験活動を取り入れるために、美多教授と林特任助教、そして美多グループの皆様の多大なる協力に感謝いたします。
キム ナムヒ(延世大学校 博士課程、韓国)
ICReDDでの経験は、自分が進めたい研究を追求するのに最適なものでした。私にとってMANABIYAの良いところは、単結晶X線構造解析装置や示差走査熱量計などの優れた研究設備や分析機器が揃った環境で、研究分野の専門家たちと一緒に研究ができたことです。ICReDDのラボ同士で試薬や機器を自由に共有していることも大変ありがたく、そのような環境の中で、分子ローターの結晶化など、さまざまな新しい技術を学ぶことができました。また、周囲の人々が温かく迎えてくださり、クリスマスパーティーなどの交流イベントを楽しんだり、事務的な面でも多大なサポートをしていただいたおかげで、MANABIYAでの滞在期間中は不安を感じることなく過ごすことができました。全体的に、ICReDDはメンバーが互いに協力し、高度な研究を行うためのアイデアを共有するフレンドリーな場所だと感じました。
勝山 彰(北海道大学 助教、日本)
私はMANABIYAにおいてAFIR法を用いた励起状態の反応経路探索について学びました。この経験の中で、励起状態における構造探索の課題について理解するとともに、AFIR法がこの課題に対して極めて強力な計算手法であることを感じました。論文で発表した理論的な部分は、本手法があってはじめて議論することができました。現在は学んだ内容を利用して、新たな分子を見出すべく研究を続けています。原渕先生、前田先生をはじめとするICReDDのスタッフの方には、有機合成が専門である私に対して、計算化学の研究がスムーズに進むよう多大なご助力を頂きました。この場をお借りして感謝申し上げます。