
2024年秋に開催されたシンポジウムで美多先生からお声がけいただいたことをきっかけに、MANABIYAへの応募を決めました。以前からより専門的な観点から計算化学を学び直したいと考えていたこと、理研で進めている研究テーマにおいてより高度な計算が必要となったことも重なっており、振り返ればまさにベストなタイミングでした。
MANABIYAでの滞在中は、主に前田研所属の学生さんに、計算環境のセットアップから基本的なジョブの実行方法、トラブルシューティングに至るまで全面的にサポートしてもらいました。私の研究テーマは、比較的シンプルな光反応の機構研究であり先行研究が明確であったため、方針は立てやすく、1か月の滞在で基本操作を習得しつつ予備的な計算を一通り実施するに至りました。私の場合とは異なり、先行研究が限定的で手探りでテーマを進めていきたい方は、より長期での滞在をおすすめします。応募前に相談できますので、ご安心を。
実際にGRRMプログラムを使ってみると、一般的なGaussian計算と比較して、AFIR法を含めた計算条件オプションの幅広さに驚かされました。より「かゆい所に手が届く」柔軟な条件設定が魅力です。また、行き詰った時には、こちらの相談内容が抽象的であっても、それを具体的な計算条件に変換し、的確にアドバイスしてくれる学生さんのサポートも大変助けになりました。加えて、拠点長である前田先生への報告会も定期的に実施され、研究の方向性を見極める上で重要なアドバイスをいただくことが出来ました。理研に戻った後もMANABIYAで得たノウハウを活かして計算を継続し、その成果を鍵とする論文の投稿へとつながっています。MANABIYAでの経験を通して、計算化学の力をより強く感じ、今後も継続して使用したいと思いました。
このような機会を与えて下さった前田先生をはじめとする前田研の皆様、丁寧に指導してくれた山田さんと神名さん、美多先生と美多グループの皆様、またディスカッションしていただいたICReDDの先生方に深く感謝申し上げます。
(特定国立研究開発法人理化学研究所 橋本分子合成機能研究室 研究員 山内 泰宏)
