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鈴木章賞新たな伝統の幕開けとなる初代授賞式

2022年3月12日(土)、初代鈴木章賞の授賞式が、北海道大学フロンティア応用科学研究棟・鈴木章ホールからのオンライン配信にて執り行われました。

鈴木章賞は、本学ユニバーシティプロフェッサーである鈴木章名誉教授の2010年ノーベル化学賞の功績を称えるとともに、鈴木先生が卒寿を迎えられたことを記念して、2021年に創立されました。鈴木章賞は、化学反応開発に顕著な業績を収めた実験化学分野の研究者へ授与されるアキラ・スズキ・アワードと、計算/理論化学、情報科学分野の研究者へ授与されるアイクレッド・アワードの2つの賞から成っています。

授賞式では、鈴木章賞組織委員会委員長であるICReDDの澤村正也教授から、賞の概要説明がされた後、初代アキラ・スズキ・アワードが、マサチューセッツ工科大学のStephen L. Buchwaldカミーユ・ドレイファス化学教授に授与されました。

   

受賞に際し、Buchwald教授は、鈴木章名誉教授への敬意の念を表されました。

「とてつもなく光栄なことです。鈴木章先生は、歴代の最も偉大な化学者の一人でいらっしゃることは当然ですが、私にとっては偉大なヒーローのうちの一人でもあります」

続いてBuchwald教授は、医薬品産業における鈴木カップリング反応の普及について言及するとともに、自身の研究グループメンバーの長年にわたる尽力に謝意を述べられました。

「私は非常に誇らしく、また幸せな気持ちでいっぱいです。今回の受賞は、ここ何年もの間に尽力してくれた研究室の大学院生やポスドクたちの献身的な努力と創造性の賜物であると言えるでしょう」

続いて鈴木章賞組織委員会 副組織委員長であるICReDDの武次徹也教授より、初代アイクレッド・アワードが、英国ケンブリッジ大学、化学物理学のDavid J. Wales教授に授与されました。

   

受賞スピーチにあたってWales教授は、賞への感謝の意と、ICReDDへの強い関心を示されました。

「この賞をいただけたことを大変ありがたく、また非常に嬉しく思っております。皆さんと直にお会いすることができればと願うばかりです。ICReDDは素晴らしい人材と、未来へ向けた革新的な取り組みを擁する非常にエキサイティングな組織だと思います。私たちのつながりが今後も継続し、将来的に何か新しいプロジェクトを共に立ち上げられたらと思います」

Wales教授はまた、現在の地政学的情勢における国際連携の重要性についても強調されました。

「科学者は、友情と協力関係こそが社会を前進させるものであると世界に示すことができると思います。私たちは国家間の強い絆がどのように機能すべきかの模範を提示する必要があります。ただし国家とは抽象的なものであり、実際にその絆を作るのは私たち個人です。共に手を取り合うことで変化を起こすことができるのです。」

  

各賞が授与された後、鈴木名誉教授からのビデオメッセージが寄せられました。続いて各受賞者からそれぞれの研究に関する講演が行われました。授賞式と受賞講演会の録画映像はオンラインで視聴可能です。