ICReDDの美多および前田グループは、CO₂ラジカルアニオンを鍵中間体として用いることで、N-Ac-エナミドおよびN-Ac-アリルアミンからβ-およびγ-アミノ酸を合成する新規手法を開発しました。CO₂ラジカルアニオンは、電気化学的および光化学的手法により、CO₂やギ酸塩から温和な条件下生成可能です。
また、AFIR(人工力誘起反応)法による反応経路探索を通じて、CO₂ラジカルアニオンのN-Ac-エナミドのβ位への選択的付加が速度論的および熱力学的に有利であることが理論的に示しました。実験的にも、電気化学条件および光化学条件のいずれにおいてもβ-アミノ酸の合成に成功し、多様な基質に対して高い官能基許容性を示しました。また、N-Ac-アリルアミンからのγ-アミノ酸合成にも光化学条件下で成功しています。
さらに、合成したβ-およびγ-アミノ酸については、保護基を除去することで遊離アミノ酸として取得できることも実証しました。本手法は、従来のアミノ酸合成法に代わる持続可能で効率的な選択肢を提供するとともに、CO₂およびギ酸塩を有機合成の有用なビルディングブロックとして活用した革新的なアミノ酸合成法です。
研究
電気化学条件および光化学条件下における CO₂ ラジカルアニオンを用いた β-アミノ酸合成
2025年07月28日