研究

プレスリリース 超強接着性ハイドロゲルデノボ設計に成功!データ駆動型アプローチ材料開発の新境地を開拓

ポイント

・データ駆動型アプローチで、超強⼒な接着性ハイドロゲルのデノボ設計に成功。
・タンパク質データベースと機械学習を活⽤し、⾼分⼦鎖の配列パターンを設計と最適化。
・⻑期的な⽔中・海⽔接着性、⽣体適合性を実証、多様な実⽤応⽤が可能。

概要

北海道⼤学総合イノベーション創発機構化学反応創成研究拠点(WPI-ICReDD)の范 海⻯(ファ
ン・ハイロン)特任准教授(現・深圳⼤学 准教授)、龔 剣萍(グン・チェンピン)教授、及び瀧川
⼀学特任教授らの研究グループは、タンパク質のデータマイニング、実験、機械学習を統合した画期
的なデータ駆動型アプローチを提案しました。これにより、超接着性ハイドロゲルのデノボ設計に
成功しました。
この新しいアプローチにより、約 2 万 5 千種類のタンパク質データベースから得た知⾒を基に⾼分
⼦鎖の配列パターンを設計し、機械学習を活⽤してハイドロゲルの最適な組成を導き出すことに成
功。これにより、従来のハイドロゲルを⼤幅に上回る最⼤ 1 MPa を超える接着強度を海⽔環境で達
成し、強⼒な接着⼒を初めて実現しました。
開発された超接着性ハイドロゲルは、⻑期的な⽔中接着性、⾼い耐久性、そして⽣体適合性を⽰す
ことが実証され、多様な実⽤応⽤例での⼤きな可能性を秘めています。これは、これまで困難とされ
てきたソフトマテリアルのデータ駆動型開発における極めて⼤きな⼀歩であり、⽣体材料、医療、
ロボティクス、深海探査といった過酷な⽔中環境技術など、多岐にわたる分野での応⽤が期待されま
す。
本研究成果は、⽇本時間 2025 年 8 ⽉ 7 ⽇(⽊) 公開の Nature 誌に掲載されました。
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タンパク質模倣⾼分⼦設計による超接着性ハイドロゲルの実⽤例。開発されたハイドロゲルのうちの⼀つを⽤いて、ゴム製アヒルを海岸の岩に接着させた実演の様⼦。このゲルは海の潮の満ち引きや波の衝撃にも耐え、過酷な海洋環境下での強⼒な接着性能を実証。