研究

アゾアルカン架橋剤の使用によりダブルネットワークハイドロゲル発生するメカノラジカル値が倍増加

グン教授率いるICReDDと北海道大学の研究者は、ダブルネットワークハイドロゲルにアゾアルカン(AAC)架橋剤を使用することにより、メカノラジカルの値が通常の架橋剤に比べて5倍高くなるという結果を得ました。ハイドロゲルを引き伸ばした際にゲル内の共有結合が切断されることで発生するメカノラジカルの増加が高分子の生成を加速し、その結果としてハイドロゲルの強度が増すのです。この発見により、このような「力に反応する」ハイドロゲルが、生物医学装置やソフトロボティクス分野へ幅広く応用される可能性が広がりました。

この研究は通常の架橋剤であるN,N’-メチレンビス(アクリルアミド) (MBA)の代わりにアゾアルカンを使用しました。ICReDD拠点長である前田 理教授が開発した人工力誘起反応(AFIR)法により、MBAよりもAACのほうが効率よく結合を切断できることが計算で示されたため、それを実験で確認しました。さらに引張強度試験とフェントン反応を合わせた方法を用いることでメカノラジカル発生量の増加も実験的に明らかにされました。

ハイドロゲルの中の架橋剤の結合が切断されることによる二つのメカノラジカルの発生