研究

パラダサイクルカルボキシル化:量子化学計算と合成化学実験による新手法開発

ICReDDの研究グループは、人工力誘起反応法(AFIR法)を用いてC(sp3)–H 結合活性化によって形成されたパラダサイクルの新しいカルボキシル化反応の開発に成功しました。本研究では、まずAFIR法によって想定される反応経路を算出した結果、パラダサイクルの還元がCO2とのC–C 結合形成の重要な鍵となることが示唆されました。この計算結果を指針として実験での実現に挑戦し、様々な還元条件(Cp*2Co、光電子移動触媒、電解還元条件)でのカルボキシル化反応に成功しました。

本研究は、AFIR法を駆使した反応経路予測を指針とすることで、遷移金属錯体を用いる反応開発を大幅に加速させることができました。また、本研究結果は開発が強く望まれている触媒的C(sp3)–H 結合のカルボキシル化反応の実現に重要な知見となりました。詳細は、神名航、原渕祐、前田理、美多剛らによる論文(DOI: 10.1002/asia.202100989)に掲載されています。